古生物学はPaleontologyの訳語です.原語に忠実に訳すなら,「古代学」のようになるはずですが,その訳語には「生物」が入っています.つまり,この訳は意訳で,そこには「昔の生物のことを研究するんだ」という,Paleontologyが目指すべき方向性が示されています.
私たちの目標は「過去の生物を生物として理解する」ことです.例えば,過去の生物が,どのような仲間だったのか(分類),どのように成長していたのか(発生),どのように生きていたのか(生態),などを明らかにしようとしています.
昨今,地球規模のような大きなスケールで生物の歴史が語られるようになりました.確かに生命史の全体像をつかむことはとても大切です.しかし,生命史とは個々の生物の歴史の集合であることを忘れてはいけません.基本に立ち返り「個々の古生物の主張に耳を傾けよう」というのが,この研究室のポリシーです.
究極的には生物としての特性を種ごとに明らかにしなければなりません.言い換えれば「種の数だけ研究の可能性がある」ということで,研究する対象は無数に残されています.
私たちの研究室は主に「植物」を対象とした研究を行っています.また,植物を含む地層の層序学も行っています.しかし,我が国において「古生物を生き物として研究できる環境」が少なくなってきた現状を考え,学生さん達が自身の責任で,ほかの分類群の研究を立ち上げることも歓迎しようと思っています.