ナカトンベツコウヨウザン後日談

私たちは北海道中頓別町産の球果化石をコウヨウザン属の新種として記載しました(ナカトンベツコウヨウザン 参照).球果の特徴から言えば,この化石は間違いなくコウヨウザン属のものです.しかし,「シュート(葉と枝からなる部分)の特徴がコウヨウザンと違ったらどうしよう?」という不安がありました.

論文が出版された後も不安を抑えきれず,9月下旬,ついに中頓別にシュート化石を採りに行くことにしました.件の化石は共同研究者の方が採られたものですが,実は私,中頓別に行ったことがありませんでした(すみません).

行ってみて,熊の足跡の多さに絶句しました.中頓別はそこそこ海に近く,ダムもないので,沢にはたくさんのサクラマスが遡ってきます.すると当然,それを食べる熊の狩場になります.ビビりまくりながら沢を歩くのですが,中頓別は化石が超少ないみたいで,なかなか化石が採れません.たまに魚介の化石は落ちているのですが….そんな悪条件の中,ついに採ったのがこのシュート化石!

これからきちんと調べなければなりませんが,コウヨウザンのシュートっぽいです.安心しました.なお,現地の写真がないのは,熊にビビっていたというのもありますが,血眼で探していて,写真を撮っている余裕がなかったためです.

シュート化石を採って心のゆとりができた後に撮った写真.