金沢での調査

石川県金沢市に分布する犀川層(約1300万年前)と小寺山層(約1000–640万年前)からは,植物の種実化石が見つかります.しかし,どのような種類が含まれているのかは,まだ研究されていません.これらの時代の植物化石は,現在の日本の植生成立を解く鍵になるので,何とかデータを集めたいところです.

犀川層中に見られる炭化植物片.たぶん山火事で焦げた植物です.

私は10年以上にわたって,両堆積物に含まれる化石の収集を行なってきました.金沢に住んでいたころは,仕事帰りに軽く拾ったり,仕事を切り上げて(抜け出して)調査したり(すみませんでした…),種実化石集めに邁進していました.2018年には卒論の学生さんも加わって,さらにコレクションが増加しました.それでも,取りきれていないレア種がおります.また,分類学的な仕事をするには標本数が足りないものも多々あります.種内変異を見るには,最低でも100個欲しい….武蔵坊弁慶のような状態です.

そんな100個目を採集すべく,2月末に,とある橋の下(橋の上には化石はない)に採集に行ってきました.金沢を離れてからも,隙あらば採集に訪れる場所です.地べたに膝をついて,這い回りながら河原をスキャンすると,果実の化石がポツポツと見つかります.いくつか標本は増えましたが,解脱には程遠い.100個集めると1機増える気がしています.

ペカンの化石(犀川層).
ミツバマツの球果(犀川層).
ブナの殻斗(犀川層).
メタセコイアの球果(小寺山層).

<詳しく知りたい方へ>

  • Teduka S & Yamada T. (2021) Island Arc 30: e12428. doi
  • 山田ほか(2017)地質調査研究報告 68: 183–221. link
  • Yamada M & Yamada T (2014) Journal of Phytogeography and Taxonomy 62: 29–31. link

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